金魚は中国から渡来したものが多いのですが、このコメットという種類は、珍しくアメリカから逆輸入のかたちで日本にやってきました。

実は、コメットは日本からアメリカに渡ったフナや琉金という金魚が自然交配を重ねた結果生まれた品種と考えられています。「考えられています」ということは、実際のところは
はっきり分かっていないということです。と言うのも、池の中で発見されたというのが正直な話のようなのです。

コメットの体型は、細身で白く長い尾を持っていることが特徴です。それに対して、琉金はヒレは長いのですが、体型は丸く決して細身ではありません。なので、この丸い体型から
細身の体型が生まれたことに少し違和感を感じるところはあります。ただ、不思議なことに琉金は和金というフナの形に似た金魚の突然変異から生まれた品種なので、
もともとのフナの体型の要素を持っています。そのため、交配を繰り返す中で、稀にフナに似た個体も現れるようなのですが、これを選別せず交配を繰り返したことで、コメットが
誕生したのではないかという説が有力なのです。

コメットはフナに似た体型から泳ぎが得意で、吹き流し尾と呼ばれる尾をなびかせて泳ぎます。そして、その姿が彗星に似ているところからコメットと呼ばれるようになりました。

ちなみに、金魚の中で、最も泳ぎが得意と言われる品種は、和金や朱文金のように、フナに似たフナ尾という尾びれを持っている品種です。ただ、このコメットも決して泳ぎが遅いと
いう訳ではありません。コメットという名前は泳ぐ姿の美しさからつけられていますが、泳ぐ速さも決してコメットの名に引けを取らないのです。

また、コメットの体色は様々で、赤・桜・橙・黄・白・黒・更紗があります。更紗というのは、紅白のことです。この紅白の配色を持ったコメットは、上品で、一匹として同じ模様がない
ということからも人気があります。逆に、全身白の個体は価値が低いようです。

コメットは原種のフナに近い金魚なので、寿命も10~20年と長く、丈夫です。また、手に入りやすく、飼育もしやすい品種です。ただ、稀に尾びれが長く育たない個体や、成長するに
つれ、頭部に肉瘤が発達する個体もあります。

また、コメットには漆黒の個体として、ブラックコメットと呼ばれる種類があります。実は、2007年頃日本に上陸し、当初は漆黒の金魚として話題になりました。出目金や肉瘤付きの
形態以外で漆黒の金魚は珍しいのです。しかし、のちに鯉とのハイブリッド(交配)の可能性が高いという見方が圧倒的になりました。現在では、鯉とフナの交雑種「こいふな」と
断定され、輸入の際は金魚ではなく、鯉で申請しなければいけません。販売も金魚としての販売はできません。鯉は鯉ヘルペスという病気を持っている可能性があるので、輸入後、
一定期間は販売もできません。ブラックコメットは大型化するので、池飼育が一般的ですが、このような事情から流通量が少ない品種です。

それに対して、コメットは流通量も多い品種です。吹き流し尾が美しく、体色も様々なので、飼育する際は、上見で楽しむ池やすいれん鉢などより、横見で楽しめる水槽をオススメ
します。