金魚なのに泳ぎは苦手?姿形が愛くるしい・・ピンポンパール

ピンポンパールという金魚の名前、あまり聞いたことのない品種だと思います。このピンポンパールは、「珍珠鱗」(チンシュリン)という品種の一部です。この字を見てなんとなく
想像がつくのではないかと思いますが、珍珠鱗の原産地は中国です。日本には昭和30年代に渡来してきました。

名前の意味ですが、珍珠というのは真珠のこと、つまり真珠の鱗です。その名の通り、この品種は鱗に特徴があり、一枚一枚の鱗は真珠を半分に割ったような形で白く、体に沿う
感じではなく、隆起したようについているのです。そこから「パール」や「パールスケール」と呼ばれるようになりました。この珍珠鱗の腹が膨らんで提灯型をしたものがピンポン玉に
似ていることから「ピンポンパール」、頭に肉瘤があるものを「コウトウパール」と名づけられました。しかし、その後、ピンポンパールの丸い体型、泳ぎ方が人気となり、現在では
珍珠鱗=ピンポンパールが一般的になっています。

ピンポンパールの体形は、上に書いた通り、ピンポンのような丸い体型、それと短い尾です。尾の形は開き尾ですが、体全体の長さが短いこともあって、泳ぎは得意ではなく、
転覆してしまう個体もいます。

また、ピンポンパールは成長するに従って色が変わってくるのですが、その色は多彩です。素赤(全身が橙から赤色の単色)や更紗(紅白)、キャリコ柄(赤・黒・浅葱色の三色を
持つ)のものは他の品種にも見られ、そんなに珍しい体色ではないのですが、「虎ピンポンパール」や「ミルクピンポンパール」、「フナ色ピンポンパール」は、なかなか他では
聞かない色かもしれません。虎というのは、まさに虎をイメージする黄色(橙)と黒の配色です。橙の体に、背中には黒の模様があります。また、ミルクは全身が淡いピンク色に黒い
瞳が特徴です。体色が薄い色でパールのイメージに近いため、瞳の黒が引き立っています。さらに、フナ色はその名の通り、フナに似た黒っぽい色です。しかし、このフナ色が意外と
成長途中の場合があり、フナ色で買ったつもりが、飼っているうちに色が変わってきたということもよく聞きます。

なお他にも、体色ではなく、体に特徴のある部分が現れ、そこから名前の付いたものもあります。「出目ピンポンパール」はその名の通り、眼が出ていて、出目金のイメージです。

体はピンポンパールですが、眼だけが違うという感じです。また、「ちょうちんパール」という尾だけはフナ尾(フナの尾の形と同じ)で、その他はピンポンパールという個体もいます。

なお、これらの出目ピンポンパールやちょうちんパールは体の一部に独特の特徴があるだけで、体色は様々です。

そして泳ぎ方ですが、上にも書いたとおり、他の金魚に比べてかなり泳ぎは下手です。その体型とヒレの長さから泳ぎが下手なのは仕方ないのかもしれませんが、かえってそれが
かわいいと、特に女性の間で人気があります。そのため、流通量も多く、ホームセンターや専門店でよく見かけることができます。

現在も改良が続く、背びれのない「金魚の王様」・・ランチュウ

ランチュウという金魚、魚のイメージはつかなくとも、名前だけでも聞いたことはないでしょうか。この金魚は歴史が古く、作出国は日本です。

ランチュウは、日本最古の金魚飼育書に「卵虫」として載っています。しかし、これは「マルコ」という、オランダ人によって中国から長崎(出島)に持ち込まれた金魚です。出島と聞いて
察しのついた人は多いかと思いますが、その時代は江戸時代です。鎖国だったため、持ち込まれたのは唯一の貿易港「出島」だったのです。

元々、マルコは和金が品種改良されたもので、現在のランチュウとは少し体形が違います。ランチュウの一番の特徴は頭にある肉瘤ですが、マルコにはありません。このマルコから
さらに品種改良が行われ、現在のランチュウが作出されるのですが、現在の体形になったのは明治以降の品種改良からです。

ランチュウは背びれがなく、体に厚みがあり幅があります。尾は三つ尾、四つ尾、サクラ尾が標準です。三つ尾というのは、上から見た時に、尾びれが左右に三つに分かれている
もの、四つ尾というのは同様に四つに分かれているものを言います。また、サクラ尾は三つ尾の真ん中に切れ込みが入っていて、サクラの花びらのように見えることから、この名前が
つけられました。

ランチュウの体色は、赤か更紗が多いのですが、実は生まれた時は黒です。成長するにしたがって、色が変わってくるので、その点でも飼育する楽しみがあると言えます。また、上に
書いたとおり、頭には肉瘤が発達しています。

ランチュウには、「大阪ランチュウ」「協会系」「宇野系」という三つの系統があります。これらは、ランチュウを品種改良する上で、重視した点が違うためにそれぞれの特徴が違い、
ランチュウという品種の中で、さらに個別の品種ができているような状態になっています。

大阪ランチュウは、マルコから品種改良されたランチュウの原型をそのまま維持した体型ですが、一旦絶滅しました。その後、大阪ランチュウに似た品種が見つかり、少しずつ繁殖を
行っています。しかし依然として流通量は少ない系統です。

協会系は、日本らんちう協会の審査基準を重視した系統で、尾の付け根部分の太さや尾の形に重点を置いています。尾の付け根の太さが違えば、泳ぎ方が違ってくるので、
泳ぎの違いに重点をおいていると言ってもよいと思います。

宇野系は、肉瘤の付き方と体色に重点を置いた系統です。

このように同じ品種でありながら、全く別の考え方で系統が分かれています。ランチュウは、それぞれの系統が今なお発展しています。日本らんちう協会では、毎年全国品評大会を
行っています。協会系のらんちゅうは、その審査基準を重視しているということです。また、各地で愛好会が発足されているということからも、昔から愛好家によって品種改良が続け
られ、金魚の中で最も改良が進んだ品種であることがわかると思います。そのため、「金魚の王様」と呼ばれるのです。

紅白の清楚な体色、観賞には上見をオススメする金魚・・丹頂

丹頂と聞いて、一番に思い浮かぶのは「丹頂鶴」という人は少なくないと思います。頭頂が赤、目の周りと首が黒で、体全体は白い羽で覆われているあの鶴です。

しかし、金魚の品種にも丹頂という品種がいます。カンの良い人は分かったかもしれませんが、名前の由来はまさに丹頂鶴です。黒い部分はないものの、頭の肉瘤は赤、それ以外は
白という体色です。まさに丹頂鶴を連想しますよね。

そして、何となく日本産のイメージかもしれませんが、実はこの丹頂は中国で作出されました。日本に渡来したのは、昭和30年代です。体の特徴は、頭部にある赤い肉瘤ですが、
それ以外は「オランダ獅子頭」という品種の金魚と体形はそっくりです。オランダ獅子頭にも頭部に肉瘤があります。また、背びれがあり、長く伸びた開き尾を持っていて、まさに色が違うだけのように見えるのですが、丹頂の作出過程は分かっていません。そのため、オランダ獅子頭と関係があるのかも分かりません。ただ、オランダ獅子頭は琉金という頭部に
肉瘤のない、体に丸みのある開き尾を持った金魚の突然変異から作り出された品種なので、もしかしたら琉金と何かしらの関係があるのかもしれません。

また、この丹頂は大きくなるに従って頭部の赤い肉瘤が盛り上がってきます。肉瘤は大きな物が一つできるという感じではなく、小さなものがいくつかできる状態なのですが、それが多くなりすぎると眼まで覆ってしまい、眼が見えなくなります。しかし、餌には嗅覚を使ってありつくことができるので、餌を食べられなくなって死んでしまうのでは?という心配はしなく
ても大丈夫です。なお、この肉瘤ですが、室内で飼育する場合、赤色が薄くなることがあるので、時々日光に当てるか、発色を助ける餌を与える必要があります。

また、丹頂には日本産と中国産があるのですが、日本産の丹頂の肉瘤は中国産の半分くらいでかなり控えめで、多少盛り上がっているくらいです。それに対して、中国産の丹頂の肉瘤はとても大きくなります。しかし体格は日本産に比べ中国産のほうがやや小柄で華奢です。

丹頂は流通量が多く、手に入りやすい品種で、寿命も15年くらいで飼育し易い品種です。ただ、体長は20センチくらいになる大きめの金魚なので、大きめの水槽か、すいれん鉢や池など外で飼育するのもよいかもしれません。頭部の肉瘤だけが赤いので、横から見る横見より上から楽しむ上見の観賞に向いた品種です。

なお、池と言えば錦鯉のイメージかもしれませんが、実は錦鯉にも丹頂という品種があります。金魚と同様に頭頂のみが赤いのですが、肉瘤はありません。錦鯉の場合は、頭頂
以外の部分の色が名前に入り「丹頂●●」とつけられています。ちなみに、金魚のように頭頂以外の体全体が白い品種は「丹頂紅白」と言われています。金魚の場合は「紅白=
丹頂」で、それ以外はオランダ獅子頭として考えられているので、丹頂にはそれ以上の細かい分類はありません。

オランダとは関係ないのに、この名前がついた金魚・・和蘭獅子頭

金魚の品種で、「和蘭獅子頭(オランダシシガシラ)」と聞いてすぐに金魚の形が思い浮かぶ人は、金魚に興味があり、専門店にもよく行くという人ではないかと思います。手に入れることは簡単ですが、お店でしか、ちょっとお目にかかれないそんな品種です。でも、これほど名前と体型がマッチした金魚はそういないと思うので、一目見ればすぐに覚えてしまうと
思います。
和蘭獅子頭の特徴は、頭部に肉瘤があり、背びれもあり、長く伸びた開き尾です。開き尾というのは、フナのようなまっすぐな尾ではなく、上下左右に開いている立体的な形をした
尾びれです。また、肉瘤のイメージは、その言葉通り、肉の瘤(コブ)なのですが、大きな瘤ではなく、小さなものがいくつか頭の上に乗っているという感じです。

ランチュウという品種を知っている人は、ランチュウの背びれがあるタイプ?と思うかもしれませんが、ランチュウほど、体全体に厚みがありません。和蘭獅子頭は、元々琉金という
体型が丸い品種の金魚の突然変異から選別され、作り出されているのですが、体型は琉金より少し胴長です。そして体色は、赤・橙黄・白・更紗(紅白)・黒と様々です。

和蘭獅子頭は、江戸時代に中国から琉球を経て長崎に渡来してきました。その時代は鎖国時代で、珍しい渡来物を「オランダ物」と呼んでいたことから、この金魚の名前にも
「オランダ」が付いたのです。そして、獅子頭は、頭についている肉瘤が獅子の頭を思わせることから「和蘭獅子頭」と名づけられました。なので、オランダとは全く関係なく、名前の
意味は、珍しい輸入品ということです。

また、肉瘤については、その出方はさまざまで、「あまり出ない」という声も多いようです。飼育方法による原因が多いと考えられていますが、逆に大きく発達した場合は、肉瘤が眼を
覆うほどになり、眼が見えなくなる場合もあります。金魚の中で、元々視力が悪い品種はいくつかあるのですが、このような場合、餌は嗅覚で感じているようです。なので、眼が
見えないからと言って、餌が食べられなくなるのでは?という心配は、しなくても大丈夫です。

和蘭獅子頭はとても大きくなる金魚で、その大きさは25センチくらいとも言われています。金魚で25センチはかなり大きいと思うのですが、これよりもっと大きいジャンボオランダと
いう品種もいます。

ジャンボオランダは和蘭獅子頭とフナのような体型の和金という金魚を繰り返し交配させて作られた金魚ですが、その大きさは40センチとも言われています。産地としては熊本県
長洲町が有名で、人気があり愛好家も多いようです。このサイズまで大きくなると、もう屋外の池などで飼うか、どうしても室内で飼いたい場合はとても大きな水槽を用意するしかない
ですよね。しかし、室内ではちょっと難しい大きさだと思います。

なお、オランダ獅子頭の愛好家の間では、長年に渡り世代を重ねてきたことで、現在の和蘭獅子頭とは趣が全く違う「日本オランダ」という金魚も知られています。

中国生まれ、珍奇な姿が人気の金魚・・水泡眼

水泡眼という金魚は、金魚を専門店などで見ない人にはちょっと聞いたことのない珍しい品種かもしれません。この金魚は、中国で古くからある品種ですが、宮廷などの支配層のみが飼育保存をしていて、王朝政が廃止になって一般に広く知られるようになりました。そのため、出目金の突然変異により作出されたなどの説はありますが、詳細は分かっていません。

日本には、昭和33年に渡来してきました。つまり、琉金や出目金に比べ、渡来してからの年数が浅いことから、日本人にとってあまりなじみのない金魚の一つと言えるでしょう。

水泡眼の一番の特徴は、その名前からも想像できるように「眼」です。眼の造りは、上向きの眼球と、眼球の角膜のみが大きく膨らんでできた風船のような水泡状の袋になっています。左右にこの袋はありますが、中はリンパ液で満たされています。名前の由来も、この水泡状の袋が眼にみえることから、水泡眼と名づけられました。

体型としては、ランチュウという金魚の形に似ていて、背びれがありません。このランチュウという金魚も古くからいる品種ですが、日本で、「マルコ」という品種から改良された金魚です。体型は、琉金ほど丸くなく、しかし和金ほど長くもないという形です。尾の長さ、形も様々です。ランチュウには頭部に肉瘤がありますが、水泡眼には肉瘤がないので、その点も特徴の一つと言えるかもしれません。

体色は、赤や更紗(赤白)が一般的ですが、黒・茶・青・キャリコ柄も、数は少ないですが、中国金魚の専門店に行くとお目にかかれます。また、上で「背びれはない」と書きましたが、原産地では背びれのあるタイプがいます。しかし、それらが輸出されることはほぼありません。よって日本で見られる水泡眼は背びれがないものばかりです。中国だけでなく、日本でも人気が高く、比較的流通量は多い品種です。

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水泡眼は、和金や琉金ほど丈夫ではありませんが、飼育環境をきちんと整えると10年位は生きると言われています。眼の下の水泡が傷つきやすいので、その部分に注意し、水槽内に角のある装飾品などは置かないようにします。この水泡が傷ついてしまうと、元に戻ることはなく、傷から細菌が入ってしまう可能性があるので、すぐに薬の入った水槽で泳がせるなどして対処します。また、水泡眼に関わらず、出目金など眼が出ているタイプの品種は一般的に視力が低い傾向があります。

なお、この水泡眼に似た品種として頂点眼という金魚がいます。頂点眼は出目金の突然変異で作出された金魚ですが、水泡眼と同様に背びれがありません。これも原産国では、背びれがあるのですが、輸出の際に背びれのないものしか輸出されないので、結果的に背びれがないものばかりが他国に流通しているのです。頂点眼は出目金の突然変異と分かっているだけに、出目金の眼球が頂点(上)を向いているというところが特徴です。その点で、眼の下が膨らんでいる水泡眼とは明らかに違うのですが、眼が上を向いているという点では、飼育環境など共通する部分が多く、一括りにされています。

純国産の金魚、日本人好みの渋い色合い・・朱文金

朱文金は、純日本産出の金魚です。多くの金魚が外国から渡来してきているので、日本産のこの品種は珍しいと言えます。

フナ尾の和金(フナのような尾を持ち、体型も細身の金魚)と三色出目金(黒・白・赤が交じった出目金)の交配で、明治25年に秋山吉五郎という金魚養殖家によって作出され
ました。本来は「朱文錦」と書き、朱(赤)と浅葱色(薄い藍色)を基調とした体色を持つ錦のような金魚という意味です。

特徴としては、和金型の体型で長い吹き流し尾とモザイク透明鱗を持ち、体色は赤・青・白・黒の雑色です。モザイク透明鱗とは、鱗には、普通鱗・透明鱗・全透明鱗という三つの
種類があるのですが、その中の普通鱗と透明鱗が混じったものです。

鱗は皮膚の一部で、外側から、表皮・メラニン色素細胞・真皮・光彩層(銀色に光る部分)の四層構造になっています。普通鱗は、最も良く見られる鱗で銀色に光るキラキラした
一般的な鱗です。透明鱗は光彩層がないため銀色に光らず、鱗自体の色だけが見える鱗です。そして、全透明鱗はメラニン色素細胞と光彩層がないため、透明で輝きのない鱗です。つまり、全透明鱗を持つ魚は、鱗内部の体色がそのまま透けて見えるということです。朱文金は、モザイク透明鱗なので、体の表面に、キラキラ光る普通鱗と光らない透明鱗が
混在しているという状態です。

朱文金と同じような体型を持つ金魚として、コメットという品種があります。コメットは琉金という丸い体型を持つ金魚の突然変異として生まれた金魚で、アメリカ産です。このコメット
と朱文金は見分けがつかないという場合が多いのですが、朱文金は三色出目金の色合いが強く残っているので、その色調で判断されます。赤・青・白・黒の雑色なんて、まさに和の
イメージではありませんか?決して派手な色味ではありませんが、青・黒が入ることにより、ちょっと引き締まった感じの印象を与えると思います。

また、朱文金は手に入りやすい品種で、金魚すくいで見かけることもあります。とても丈夫で、大きな水槽で飼えば、30センチ以上になることもあります。

ところで、朱文金には派生品種があります。派生品種というのは、この場合、朱文金を改良して作り出された新しい品種ということです。

最も有名なものは、「ブリストル朱文金」ですが、これはイギリスで作出されました。色合いは朱文金なのですが、尾に特徴があり、その形は扇型です。ハート型と言われることも
ありますが、幅の広い大きな尾なので、泳ぐ姿はとても優美です。ただ、この品種は大変珍しく、日本ではなかなか見かけることはできません。

また、朱文金とフナ尾の和金を交配させた「メタリック朱文金」という品種もあります。これは、交配の結果、朱文金特有の浅葱色が目立たなくなり、鱗もモザイク透明鱗から普通鱗になったため、鱗自体の白色が反射して銀色に見えるようになりました。そのため、この名前がつけられました。

なお、このメタリック朱文金は銀色に光ることから豪華に見え、人気もあり、本来の朱文金に対して手に入りにくいようです。

アメリカ生まれの金魚!泳ぐ姿は彗星の如く・・コメット

金魚は中国から渡来したものが多いのですが、このコメットという種類は、珍しくアメリカから逆輸入のかたちで日本にやってきました。

実は、コメットは日本からアメリカに渡ったフナや琉金という金魚が自然交配を重ねた結果生まれた品種と考えられています。「考えられています」ということは、実際のところは
はっきり分かっていないということです。と言うのも、池の中で発見されたというのが正直な話のようなのです。

コメットの体型は、細身で白く長い尾を持っていることが特徴です。それに対して、琉金はヒレは長いのですが、体型は丸く決して細身ではありません。なので、この丸い体型から
細身の体型が生まれたことに少し違和感を感じるところはあります。ただ、不思議なことに琉金は和金というフナの形に似た金魚の突然変異から生まれた品種なので、
もともとのフナの体型の要素を持っています。そのため、交配を繰り返す中で、稀にフナに似た個体も現れるようなのですが、これを選別せず交配を繰り返したことで、コメットが
誕生したのではないかという説が有力なのです。

コメットはフナに似た体型から泳ぎが得意で、吹き流し尾と呼ばれる尾をなびかせて泳ぎます。そして、その姿が彗星に似ているところからコメットと呼ばれるようになりました。

ちなみに、金魚の中で、最も泳ぎが得意と言われる品種は、和金や朱文金のように、フナに似たフナ尾という尾びれを持っている品種です。ただ、このコメットも決して泳ぎが遅いと
いう訳ではありません。コメットという名前は泳ぐ姿の美しさからつけられていますが、泳ぐ速さも決してコメットの名に引けを取らないのです。

また、コメットの体色は様々で、赤・桜・橙・黄・白・黒・更紗があります。更紗というのは、紅白のことです。この紅白の配色を持ったコメットは、上品で、一匹として同じ模様がない
ということからも人気があります。逆に、全身白の個体は価値が低いようです。

コメットは原種のフナに近い金魚なので、寿命も10~20年と長く、丈夫です。また、手に入りやすく、飼育もしやすい品種です。ただ、稀に尾びれが長く育たない個体や、成長するに
つれ、頭部に肉瘤が発達する個体もあります。

また、コメットには漆黒の個体として、ブラックコメットと呼ばれる種類があります。実は、2007年頃日本に上陸し、当初は漆黒の金魚として話題になりました。出目金や肉瘤付きの
形態以外で漆黒の金魚は珍しいのです。しかし、のちに鯉とのハイブリッド(交配)の可能性が高いという見方が圧倒的になりました。現在では、鯉とフナの交雑種「こいふな」と
断定され、輸入の際は金魚ではなく、鯉で申請しなければいけません。販売も金魚としての販売はできません。鯉は鯉ヘルペスという病気を持っている可能性があるので、輸入後、
一定期間は販売もできません。ブラックコメットは大型化するので、池飼育が一般的ですが、このような事情から流通量が少ない品種です。

それに対して、コメットは流通量も多い品種です。吹き流し尾が美しく、体色も様々なので、飼育する際は、上見で楽しむ池やすいれん鉢などより、横見で楽しめる水槽をオススメ
します。

黒が定番の金魚!でも意外にもオリジナルは赤・・出目金

金魚の中で、出目金ほど名前と姿が認識されている品種はいないのではないでしょうか。それほど、出目金は有名な金魚だと思います。

しかし、その由来を知らないという人は珍しくないかもしれません。金魚すくいなどに登場する出目金は既に確立された固定種で、ちょっと想像がつかないところから作られた
品種だからです。

実は出目金は、琉金という種類の金魚が病的原因で眼球が突出し、それを利用して作られたのです。つまり、病気にかかった琉金がいなければ作られなかった品種ということです。

出目金の産地は中国で、日本には、江戸時代や明治時代に伝来していたという説があり、時期は定かではありません。

体型は、琉金の丸みを帯びた、ヒレの長い形に似ていて、眼が左右両方に出ています。ちなみに眼が大きく飛び出していて、バランスの良いものが高評価されます。

また、体色は黒・白・赤の三色で、この三色が交じった三色出目金もいます。ところで、琉金の突然変異から作られた出目金は赤出目金です。その赤出目金の突然変異が
黒出目金と三色出目金なのです。出目金と言えば黒のイメージが強いと思いますが、意外にも元々は赤出目金なのです。また、三色出目金はキャリコ琉金や朱文金など、
他のキャリコ柄の種類を作る元となっています。このキャリコというのは、まだらという意味で、黒・白・赤の混じった、その言葉通りまだら模様のことです。ただ、元となっている
三色出目金をキャリコ出目金ということはほとんどなく、キャリコと言えば、琉金というくらい、キャリコ琉金のことをキャリコと呼びます。

ところで、元々金魚はフナの突然変異なので、稚魚の体色は黒です。その後、次第に色が濃くなり、黒になったり、赤に変わったりします。白もそのような変化の中で、次第に色が
変わって、黒出目金のつもりで飼っていた金魚が白になり、実は白出目金だったなど、聞くことがあります。また、飼育環境によっても色が変わることがあります。これを退色と
いいますが、こちらは餌などである程度、回避することができます。なお、出目金の一番の特徴である眼ですが、実は眼は生まれた時から出ているのではなく、孵化後3か月くらい
から徐々に出てきます。そして、その視力は低く、泳ぎ方もゆっくりです。

出目金を飼育する上で一番注意しなければならないのは、眼を傷つけないようにすることです。取れてしまった眼は元に戻らないので、角のあるものや流木などの装飾品は
できるだけ入れないことをオススメします。そこをクリアできれば、出目金は丈夫で、それほど飼育しにくい種類でもなく、寿命は10年くらいです。大きさもヒレの長さまで入れて
20センチくらいになることもあります。

出目金は比較的手に入りやすい種類の金魚ですし、金魚すくいなどでもよく見かけます。金魚すくいで見かける出目金は黒が多く、大きさも小さいので、飼っているうちに色が
変わったなんてこともあるかもしれませんが、それもまた楽しみの一つかもしれません。

なお、繁殖させる場合は、出目金は劣勢遺伝子を持った種類なので、出目金同士でなければ出目金は生まれません。

金魚と言えばこの形!和名の由来は沖縄・・琉金

琉金と聞いて、その金魚のイメージがわく人はどれだけいるでしょうか。でも一目見れば、「あっ、この金魚のこと!」というくらい、とてもポピュラーな金魚です。

体の形は丸く、各ひれは共に長いのですが、その中でも尾びれが最も長いです。体色は、赤一色、白、紅白の更紗が一般的です。また、尾の形ですが、三つに分かれている尾を
三つ尾、四つに分かれているものを四つ尾と呼び、琉金はこれらのどちらかで、泳ぎ方も、ゆっくりしています。

少しは、イメージがわいてきましたか?たぶん、金魚の絵を書いてみようと言われたら、たぶんこの形を描く、というくらい、有名な形の金魚です。金魚すくいの囲いの中でも
よく見かけるので、もうお分かりだと思います。琉金の体形の説明はこれくらいにして、琉金の由来から説明したいと思います。

琉金は、中国で和金の突然変異として出現しました。あのスラッとした形のフナそっくりの和金からどうしてこの形が生まれたのか不思議ですが、突然変異とは、そういうことを
いうのでしょう。その後、江戸時代に沖縄の琉球を経て、薩摩(現在の鹿児島)に輸入されました。ここまで書けば、その名前の由来が琉球だということは察しがつきますね。

上で体色のことを書きましたが、それ以外に赤・青・紫・黄・白が交じったキャリコ琉金という種類もいます。キャリコ琉金は突然変異ではなく、三色出目金(赤色の出目金から
突然変異で生まれた黒・白・赤の三色が交じった出目金)と琉金を交配させたものです。明治時代に秋山吉五郎という金魚養殖家が作り出し、それを気に行ったアメリカ人の
フランクリン・パッカードが「キャリコ(まだらという意味)」と名づけました。キャリコ琉金が本来の名前ですが、キャリコと言えば、キャリコ琉金というくらい「キャリコ」の名前で
通っています。

また、琉金は小さいものでは数百円で売られているポピュラーな金魚ですが、大きいものや主に尾びれの形で高い評価を得たものは数千円から一万円までするものもいます。

なかでもブロードテール琉金という、尾先が丸くて切れ込みが浅く、長い尾びれが特徴のこの琉金は、静止したときに大きく広がる尾びれが上から見ると蝶が羽を広げたようで
大変美しい金魚です。しかし、人気があり、注目を集めている品種だけに手に入れることは難しく、売買されていても高値で取引されています。

また、以前は評価の低いハネとして扱われていたものが、最近では人気が出て、高く取引されている種類もあります。桜琉金は更紗琉金の透明鱗ですが、以前は繁殖段階で
品質の低いものとして金魚すくいなどで使われていました。透明燐とはその言葉どおり、鱗が透明で、下の色が透けて見える鱗のことです。

この桜琉金は、最近では透明鱗から透けて見える赤が桜のようで人気があります。もともと中国から入ってきたもので、ショートテールの桜琉金が普通鱗の琉金より早く
流通していたと言われています。そして、10センチを超えるものは、大変高価で、数万円もの価値で取引されることもあります。

金魚の原点!?金魚すくいの定番・・和金

和金を一番見かけるのは、金魚すくいのあの囲いの中ではないでしょうか。これって「赤いフナ?」って思ってしまう、あの魚です。

和金は室町時代中期に、最初に中国から渡ってきた金魚です。当時、金魚は大変な高級魚で、飼うことができるのは貴族や大名など、限られた人たちばかりでした。

しかし、飼育方法や繁殖方法も確立されておらず、飼うのは大変だったようです。

現在では、和金は最も手に入りやすい、安価な金魚ですが、当時は金持ちが飼う愛玩具だったということです。

また、和金は名前のイメージから、もともと日本の金魚では?と思ってしまうかもしれませんが、後に次々と入ってくる他の金魚と区別するためにつけられた名前です。

和金はヒブナの突然変異で生まれた魚で、体格が小さいものを「小金」、大きいものを「姉金」と言います。

尾の形も、最も有名なのはフナ尾ですが、三つ尾、四つ尾もあります。これらも、突然変異で現れた品種です。

体の色は、赤が一般的ですが、白や紅白もいます。和金は、金魚すくいなどで簡単に手に入るイメージですが、こうした突然変異で現れた品種は値段も高くなります。

紅白の和金を更紗和金と言い、この更紗和金の三ツ尾、四つ尾は大変高価な品種として売られています。もともと、中国から渡来した金魚ですが、
その後日本で繁殖・交配が行われ、現在の金魚の種類全ては、和金から派生しています。つまり、和金は金魚の原点なのです。

和金は、ヒブナに最も近い金魚なので、泳ぐ速さも早く、ヒブナに似ています。ヒブナと金魚の違いは、ヒブナはもともとフナからの突然変異でヒブナには、赤の体色はありません。

フナは黒い体色を持つ魚で、ヒブナはオレンジがかった色になります。また、目の位置もヒブナの方が和金よりも下の方についていたりと、違いはあるのですが、なかなか見比べて
見ないと分からないかもしれません。何れにしても、現在では和金よりヒブナの方が手に入りにくい魚です。

また、和金はとても丈夫で長く生きます。しかし、金魚すくいでとった和金がすぐに死んでしまったという話もよく聞くと思います。金魚すくいに入っている金魚は、ハネと呼ばれる
金魚であることがあります。ハネとは、繁殖を繰り返すうちに、形に異変がおこってしまい、金魚としての価値が低くなった魚のことです。

形に異変が起こると泳ぐ速度も遅くなり、餌が食べにくくなります。そのため、すぐに死んでしまうことがあるのです。他には、多くの魚が同じ水槽に入っていることで
ストレスがかかっていたり、病気にかかっている場合もあります。ですので、金魚すくいでとった魚は必ずしも長生きするとは限りません。しかし、一般的に和金は丈夫で長生き、
43年生きたという記録もあるようです。そして、その体長も大きくなります。ただ、和金を入れている水槽などの大きさによって、体長は違ってくるようです。

つまり、あまり大きくなってほしくなければ、小さめの水槽で、餌も控えめに与えた方がよいということです。