ランチュウという金魚、魚のイメージはつかなくとも、名前だけでも聞いたことはないでしょうか。この金魚は歴史が古く、作出国は日本です。

ランチュウは、日本最古の金魚飼育書に「卵虫」として載っています。しかし、これは「マルコ」という、オランダ人によって中国から長崎(出島)に持ち込まれた金魚です。出島と聞いて
察しのついた人は多いかと思いますが、その時代は江戸時代です。鎖国だったため、持ち込まれたのは唯一の貿易港「出島」だったのです。

元々、マルコは和金が品種改良されたもので、現在のランチュウとは少し体形が違います。ランチュウの一番の特徴は頭にある肉瘤ですが、マルコにはありません。このマルコから
さらに品種改良が行われ、現在のランチュウが作出されるのですが、現在の体形になったのは明治以降の品種改良からです。

ランチュウは背びれがなく、体に厚みがあり幅があります。尾は三つ尾、四つ尾、サクラ尾が標準です。三つ尾というのは、上から見た時に、尾びれが左右に三つに分かれている
もの、四つ尾というのは同様に四つに分かれているものを言います。また、サクラ尾は三つ尾の真ん中に切れ込みが入っていて、サクラの花びらのように見えることから、この名前が
つけられました。

ランチュウの体色は、赤か更紗が多いのですが、実は生まれた時は黒です。成長するにしたがって、色が変わってくるので、その点でも飼育する楽しみがあると言えます。また、上に
書いたとおり、頭には肉瘤が発達しています。

ランチュウには、「大阪ランチュウ」「協会系」「宇野系」という三つの系統があります。これらは、ランチュウを品種改良する上で、重視した点が違うためにそれぞれの特徴が違い、
ランチュウという品種の中で、さらに個別の品種ができているような状態になっています。

大阪ランチュウは、マルコから品種改良されたランチュウの原型をそのまま維持した体型ですが、一旦絶滅しました。その後、大阪ランチュウに似た品種が見つかり、少しずつ繁殖を
行っています。しかし依然として流通量は少ない系統です。

協会系は、日本らんちう協会の審査基準を重視した系統で、尾の付け根部分の太さや尾の形に重点を置いています。尾の付け根の太さが違えば、泳ぎ方が違ってくるので、
泳ぎの違いに重点をおいていると言ってもよいと思います。

宇野系は、肉瘤の付き方と体色に重点を置いた系統です。

このように同じ品種でありながら、全く別の考え方で系統が分かれています。ランチュウは、それぞれの系統が今なお発展しています。日本らんちう協会では、毎年全国品評大会を
行っています。協会系のらんちゅうは、その審査基準を重視しているということです。また、各地で愛好会が発足されているということからも、昔から愛好家によって品種改良が続け
られ、金魚の中で最も改良が進んだ品種であることがわかると思います。そのため、「金魚の王様」と呼ばれるのです。