土佐錦魚(トサキン)は、その名の通り、土佐の国(高知県)に由来する金魚で、土佐で独自に品種改良された金魚です。つまり、純粋な国産金魚です。

土佐錦魚の歴史は古く、江戸時代に大阪らんちゅう(ランチュウという背びれのない、体に厚みのある金魚の一種。通常、ランチュウには頭部に肉瘤があるが、大阪らんちゅうには
無い。)と琉金(開き尾を持つ体型が丸い金魚)を交配させて作られたと言われています。体形は琉金に似ていますが、際立って大きな尾を持っているのが特徴です。尾びれは左右
両端から前方に柔らかく反転していて、後方は扇のように水平に広がっています。泳ぐ速度もゆっくりで、その大きく美しい尾を左右に揺らし泳ぐ姿が優美なところから金魚の「女王」
と言われています。体色も赤・更紗(紅白)・白・黄金と様々です。金魚は稚魚の時は黒っぽい色をしていて、その後次第に色が変わってくるのですが、この土佐錦魚は他の金魚に
比べて色変わりが遅いため、三年以上の親魚でも黒いものは珍しくありません。

また、土佐錦魚は、「島根県のいづもナンキン」「愛知県の地金(六鱗)」に次ぐ、日本の三大地金魚の一つです。地金魚というのは、その地域で独自に作られた金魚で、その地域で
しか見ることができない希少性の高い金魚です。そのため、昭和44年8月8日に、高知県の天然記念物に指定されました。

そして、この土佐錦魚には、保存会が結成されていて、長年に渡り保存・普及活動も行われています。土佐錦魚は、尾びれが美しく特徴がありますが、実は、繁殖の際にこの形に
なる金魚は少なく、何万尾に一尾という確率でしか、天然記念物として登録できないほど保存が難しいのです。つまり、ほとんどが少し形が異なる評価の低い土佐錦魚になってしまう
ということです。土佐錦魚は、琉金の交配から品種改良されています。琉金の開き尾は、左右への広がりだけでなく、上下にも開くので、その特徴が土佐錦魚に影響しているのかも
しれません。はっきりした原因は分からないのですが、何れにしても尾びれの形が変形してしまう個体が多いのです。

さらに、土佐錦魚は南国生まれのためか、低温に弱く、体質も繊細で飼育が難しい金魚です。

土佐錦魚は昭和21年の南海大地震で絶滅寸前の数匹になってしまい、現在の土佐錦魚はその数匹から繁殖が繰り返され増えたものです。そのため、血が濃くなり、体質が弱い
のではないかと考えられています。しかし、体質が弱いと言われながらも、太陽を好む金魚なので、飼育場所は屋外が適しています。そして水質悪化に弱く、しかし、水質の変化に
敏感な金魚なので、水の入れ替えをする場合は一日以上置いた汲み置き水を、捨てた古水分だけ足すという方法で行います。なお、夏場は水質が悪化しやすいので、ほぼ全部を
変え、これを毎日行うという方法です。そのような点が体質が繊細と言われる所以かもしれません。何れにしても、飼育が難しく、高価な金魚です。