オランダとは関係ないのに、この名前がついた金魚・・和蘭獅子頭

金魚の品種で、「和蘭獅子頭(オランダシシガシラ)」と聞いてすぐに金魚の形が思い浮かぶ人は、金魚に興味があり、専門店にもよく行くという人ではないかと思います。手に入れることは簡単ですが、お店でしか、ちょっとお目にかかれないそんな品種です。でも、これほど名前と体型がマッチした金魚はそういないと思うので、一目見ればすぐに覚えてしまうと
思います。
和蘭獅子頭の特徴は、頭部に肉瘤があり、背びれもあり、長く伸びた開き尾です。開き尾というのは、フナのようなまっすぐな尾ではなく、上下左右に開いている立体的な形をした
尾びれです。また、肉瘤のイメージは、その言葉通り、肉の瘤(コブ)なのですが、大きな瘤ではなく、小さなものがいくつか頭の上に乗っているという感じです。

ランチュウという品種を知っている人は、ランチュウの背びれがあるタイプ?と思うかもしれませんが、ランチュウほど、体全体に厚みがありません。和蘭獅子頭は、元々琉金という
体型が丸い品種の金魚の突然変異から選別され、作り出されているのですが、体型は琉金より少し胴長です。そして体色は、赤・橙黄・白・更紗(紅白)・黒と様々です。

和蘭獅子頭は、江戸時代に中国から琉球を経て長崎に渡来してきました。その時代は鎖国時代で、珍しい渡来物を「オランダ物」と呼んでいたことから、この金魚の名前にも
「オランダ」が付いたのです。そして、獅子頭は、頭についている肉瘤が獅子の頭を思わせることから「和蘭獅子頭」と名づけられました。なので、オランダとは全く関係なく、名前の
意味は、珍しい輸入品ということです。

また、肉瘤については、その出方はさまざまで、「あまり出ない」という声も多いようです。飼育方法による原因が多いと考えられていますが、逆に大きく発達した場合は、肉瘤が眼を
覆うほどになり、眼が見えなくなる場合もあります。金魚の中で、元々視力が悪い品種はいくつかあるのですが、このような場合、餌は嗅覚で感じているようです。なので、眼が
見えないからと言って、餌が食べられなくなるのでは?という心配は、しなくても大丈夫です。

和蘭獅子頭はとても大きくなる金魚で、その大きさは25センチくらいとも言われています。金魚で25センチはかなり大きいと思うのですが、これよりもっと大きいジャンボオランダと
いう品種もいます。

ジャンボオランダは和蘭獅子頭とフナのような体型の和金という金魚を繰り返し交配させて作られた金魚ですが、その大きさは40センチとも言われています。産地としては熊本県
長洲町が有名で、人気があり愛好家も多いようです。このサイズまで大きくなると、もう屋外の池などで飼うか、どうしても室内で飼いたい場合はとても大きな水槽を用意するしかない
ですよね。しかし、室内ではちょっと難しい大きさだと思います。

なお、オランダ獅子頭の愛好家の間では、長年に渡り世代を重ねてきたことで、現在の和蘭獅子頭とは趣が全く違う「日本オランダ」という金魚も知られています。